2008年3月16日日曜日

Fair Value Accountingに対する疑念の声

AIGが14日現在のFair Value accounting(金融資産などを公正なる時価にて認識する会計)を変更すべきだと言う要請をしているという記事がありました。
http://us.ft.com/ftgateway/superpage.ft?news_id=fto031320081815543732

AIGと言えば、USの保険会社ですが、サブプライム問題で大きな評価損を出したり、ここ最近あまり良くない記事が出てくることが多いのですが、それらの原因ともなっている会計のあり方自体に疑問をOfficialに問いかけています。

①AIG自体の問題:サブプライム資産を保有→含み損を十分に認識していなかった→そのため多額の評価損を期末に認識→紙面を騒がす→会計がおかしいと指摘

②保険会社のビジネスモデル:保険会社は、保険料の受取りに対し、資産の運用で利鞘を稼ぐビジネスモデル(利差益)のため、運用収益の悪化は財務諸表に多大な影響を与え、投資家に対する影響も大きいのです(運用自体が一つのビジネスの核なので)。

そこで、AIGは「別に今資産を売るつもりはないのに、現在売ったらいくらになるかで評価し、その結果多大な損失を計上しなければいけないのはおかしい」と言っているのです。

③会計の問題:現在の会計は貸借対照表を出来るだけFair Value(公正価値)で認識しようとする会計です(特に金融資産)。そのため、実際に資産売却をしていなくても含み損が出ればそれを認識する。結果、比較的損益にブレが生じます。ただこの変動はマーケットに連動しているものであり、まさに現在の会社の財務状況を表したものです。もちろんAIGの言う通り、売らなければ損失は実現しない訳で、将来評価が上がれば、現在の含み損は最終的に無かった事になります。それなのに、評価損を計上する事により、投資家の危機感をあおり、結果会社に悪影響を与えるというのはおかしい。と言うのも一理あるとは思います。

では問題の根源は何かと言うと、現在の会計及び財務諸表が理解しずらい、と言う点にある気がします。もし、投資家が正しく理解出来る財務諸表ならば、AIGの言う通り、将来資産を売るタイミングでは問題ないと考える投資家は、現在の状況を静観出来るでしょうし、現在の状況を重く見る投資家は危機感を持つと思います。

結局会計は会社の状況を表す鏡だと考えれば、その鏡に映った自分を見てどう行動するかはその個人によるのですが、その鏡が見やすいか見にくいか、この点は会計のあり方自体に戻るのでしょうね。

一会計士として、ちょっと真面目に考えてみたくなった記事でした。

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