2008年3月21日金曜日

仏銀行不正事件-SOCIETE GENERALE (不正方法)

前回の続き:不正の方法について

トレーダーは過去5年ほどミドルオフィス(フロントオフィスであるトレーダーの業務を管理する役割)で働いたため、会社のシステム、また金融商品の取引の仕組みなどに精通していた。そして不正の全容は前回説明したとおり、虚偽の売りポジションを作り出した事。つまり実際の買いポジションを隠すための虚偽取引。そのため当然お金の支払・受取も発生していない。

(不正の方法)
①まず不正の取引として選んだのが、比較的会社の内部統制がきかないと思われる取引。つまり即座にお金の支払・受取がなく、かつマージンコール(デリバティブ取引を行ううえでの保証金のやり取り:再び野村證券HP:http://www.nomura.co.jp/terms/english/m/oisho.html)が発生しない取引。そして、取引の相手先に対して即座に取引確認(Confirmation)を行わなくてもよい取引です。

おそらく、市場で売買されている取引ではなく、当事者間で行う先渡取引を行ったのではないかと思います(→推測です。)つまり先物取引(市場取引)の買いに対し、虚偽の先渡取引(当事者間売買)の売りポジションを保有したと見せかけたのだと思います。

→会社の重要な内部統制としてのConfirmationをくぐり抜ける手口

②不正に会社のシステムにアクセスし、本来トレーダーが出来ないはずの、取引のキャンセルを自己で行う。つまり売りポジションの実際のお金が動くはずの日を前にして、取引自体をキャンセル。そして新たに複数の虚偽の取引を開始

→これは会社の内部統制としてのITアクセスにおける重大な不備でしょう。部門間における牽制機能が働いていなかったと言う事です。またキャンセル後に多額の取引を行っていた事に対し、ミドルオフィスによる牽制機能(取引を怪しいと気付かなかった)が有効に機能していなかった事が推測されます。

③虚偽の取引文書を不正に作成

→これを発見できなかったのは、会社の不備であると思います。取引文書に当然取引の相手先も書いてあるはずであり、即座にConfirmationを送る必要がないとしても、FAXで確認するなり、取引の実在性を確認する内部統制が必要であったと思います。

以上の不正手段により、くぐり抜けられた会社の統制機能。お金の横領といった直接の不正でなかったために、発見が遅れてしまい、結果的に蒙った大損害。これらの事実から学ぶべき点は多いですよね。

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